第45回 日本小児外科学会学術集会
The 45th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Surgeons
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卒後教育セミナー

日   時 :
平成20年  5月30日(金)(1日目)  18:45−21:00

5月31日(土)(2日目)  8:30−16:30
場   所 : つくば市、つくば国際会議場 エポカルつくば


[注意:開催時間と場所、講師については一部変更がありうる]
I. トピックス:セミナー1日目18:45−21:00
[( )内の時間は各々(講演時間、質疑時間)]

(1)
司会 西島栄治(兵庫県立こども病院外科)

1. オリエンテ−ション(5分)


教育委員会

2. 胎児手術(30分、10分)


北野良博(埼玉小児医療センタ−外科)

【概要】出生前診断の普及に伴い、小児外科医がご家族に胎児の疾患について説明する機会も増えてきた。中には胎児治療が可能な疾患もあり、その情報提供も小児外科医に求められる。本講では、胎児治療の対象疾患毎に、診断、胎児治療の適応、治療手技、治療成績について解説する。

(2)
司会 橋本   俊(藤田保健衛生大学小児外科)

3. 小児画像診断(CT,MRI)の最前線(30分、10分)

加藤良一(藤田保健衛生大学医療科学部放射線学科)

【概要】64列multi-slice CTは,その高速性により,0.5mmという薄いスライスによる多時相撮影を可能とした。これにより得られる等方性ボクセルデータから作成された多断面再構成像やCT Angiographyは小児画像診断のモダリティ選択に変化を生じさせた。本講義では小児領域におけるmulti-slice CTの活用法と最新鋭320列area detector CTの初期的臨床経験について報告する。

4. 小児外科医のリサ−チマインド(40分、10分)


中川原   章(千葉県がんセンタ−研究所)

【概要】リサーチマインドには、大きく分けて2種類あります。ひとつは、純粋に大自然の真実を知りたいというこれと言った社会的目的を持たないマインドと、医師あるいは小児外科医として患者さんを治したいという現実的かつ明確な目的をもったマインドです。しかし、両者は水と油の関係ではなく、バランスよく研究に生かさなければなりません。本セミナーでは、私のつたない経験から、両者の意味の違いと、小児外科医としてどのようなどのようなリサーチマインドが望まれるのか、私見を交えてお話したいと思います。
II. 腫瘍:セミナー2日目 8:30−12:00

(1)
司会 平間敏憲(道立子ども総合医療・療育センタ−小児外科)

1. 神経芽腫(30分、10分)


常盤和明(舞鶴医療センタ−小児外科)

【概要】神経芽腫は小児の固形悪性腫瘍の中では最も頻度が高く、一方で生物学的に極めて興味深い悪性腫瘍である。本セミナーでは、神経芽腫について小児外科医として精通すべき疾患概念と診断や治療についての臨床的問題点を科学的根拠に基づいて講義する予定である。また、近年導入されつつある神経芽腫のリスク分類に応じた治療体系について、本邦で開始された神経芽腫に対するグループスタディの取り組みをもとに概説したい。

2. Wilms腫瘍(30分、10分)


大植孝治(大阪大学大学院小児成育外科)

【概要】Wilms腫瘍は小児の腎に発生する代表的な悪性腫瘍である。近年の集学的治療の発達と米国NWTSを始めとする多施設共同研究の成果により治療成績は改善し、5年生存率は80%に達している。本邦でも1996年に日本Wilms腫瘍スタディグループが発足し、症例の集積や治療の標準化が行われて欧米並みの治療成績が得られるようになった。本講ではまずWilms腫瘍の概要と標準的治療を解説し、さらに治療困難例に対する取り組みや関連遺伝子研究などのトピックスを紹介する。
[休憩(10分)]

(2)
司会 大畠雅之(長崎大学腫瘍外科)

3. 小児肝悪性腫瘍(30分、10分)


金子健一朗(名古屋大学大学院小児外科)

【概要】おもに肝芽腫について,学習する側からみて教科書では見落としやすい点や分かりにくい点を中心に解説する。「標準小児外科学」の内容程度は既知であることを前提とする。また,肝芽腫の治療で必須となる肝臓の外科解剖を初歩からrevisitする。

4. 胚細胞腫瘍(30分、10分)


秋山卓士(広島市民病院小児外科)

【概要】(発生)胚細胞腫瘍は原始胚細胞が成熟した胚細胞(性腺)になるまでの過程で腫瘍化した腫瘍である。(発生部位・分類)身体の正中線上ならびに性腺に好発する。単一組織型(奇形腫・卵黄嚢腫瘍など)と2種類以上の組織型からなる複合組織型の2つに大別される。(治療)成熟奇形腫や未熟奇形腫では大半は手術療法のみであるが、悪性胚細胞腫瘍では、集学的治療(手術療法・化学療法・放射線療法)が行われる。(予後)日本小児外科学会悪性腫瘍委員会の報告では、5年生存率は成熟型奇形腫が97.8%、未熟型奇形腫が95.1%、悪性胚細胞腫瘍が病期、組織型によって差があるが、全体では87.4%である。

(3)
司会 吉野裕顕(秋田大学小児外科)

5. 横紋筋肉腫(30分、10分)


土屋邦彦(京都府立医科大学小児科)

【概要】横紋筋肉腫の治療は、初診時の適切な病期および病理診断に基づき分類される該当リスク群に応じた層別化治療であり、小児外科医を中心とした各身体・臓器部位手術のエキスパートにより行われる外科手術と、遺伝子診断を含む病理診断、支持療法に精通した小児腫瘍医による化学療法と専門医による放射線治療らの総合的集学的治療である。また、比較的まれな本腫瘍の治療成績向上のためには客観性・倫理性のある全国的共同臨床試験研究が必須である。本セミナーでは、横紋筋肉腫の診断・治療の方針と実際について学ぶ。
III. 関連領域・総合討議:セミナー2日目13:00−16:30

(1)
司会 前田貢作(自治医大小児センタ−外科)

1. 小児外科医が知っておくべき小児泌尿器科疾患(40分、10分)

中井秀郎(自治医大小児泌尿器科・とちぎ子ども医療センタ−)

【概要】腎・尿路・生殖器の疾患は、それぞれ単発で見られる場合も多いが、多発奇形の構成要素として、直腸肛門奇形や脊椎奇形などに合併して認められることもまれではない。小児泌尿器科疾患の診断と治療の要点を小児外科医が知っておくことはきわめて重要である。セミナーは、標準小児外科第5版の泌尿生殖器の章の内容に準拠して、できるだけ実用的な小児泌尿器科の知識を身につけることを目的とする。

2. 重症心身障害児の外科(30分、10分)

加藤純爾(愛知県心身障害者コロニ−中央病院小児外科)

【概要】重症心身障害児とは、重度の知的障害と運動障害を重複している児を指す。胎生期または周生期、新生児期に原因がある場合と生後5週以後の中途障害に大別される。筋緊張や麻痺のために側彎や四肢の拘縮などの特有の身体変形を有する。誤嚥による肺炎や気管軟化症に起因にする呼吸障害に対し喉頭気管分離術や気管切開術、腕頭動脈切離などが行われる。摂食・嚥下障害に対する胃瘻造設や胃食道逆流に対する逆流防止術もよく行われる。
[休憩(10分)]

(2)
司会 高野邦夫(山梨大学第2外科)

3. 先天性心疾患を伴った小児外科疾患患児への対応(30分、10分)


大嶋義博(兵庫県立こども病院心臓血管外科)

【概要】主要小児外科疾患に、新生児・乳児早期の外科治療が必要とされる先天性心疾患を伴った患児に対する治療成績は向上してきたが、低出生体重児や複雑心奇形を伴った外科疾患の成績は未だ不良である。胎児診断をはじめ、各臓器別の系統だった術前診断、各疾患に対する手術時期やアプローチの決定など、合併疾患をもつ患児に対する治療戦略について心臓外科医の立場から言及する。

(3)
司会 常盤和明(舞鶴医療センタ−小児外科)

4. Vascular Anomaliesの診断と硬化療法・塞栓術(30分、10分)


三村秀文(岡山大学放射線科)

【概要】皮下、軟部組織のvascular anomalies(血管奇形・血管腫)は種々の診療科により診療されており、診断・治療が難しく、臨床家の間で混乱がみられる。臨床症状は無症状から生死に関わるうっ血性心不全までさまざまである。治療については、従来保存的治療・外科的切除が行われてきたが、近年機能・形態の温存が可能な硬化療法・塞栓術が発展しつつある。今回はvascular anomaliesの診断・治療の整理とup-to-dateの情報をお伝えしたい。
IV. 総合質疑:グループディスカッション(40分)[1グル−プ 10名以内]


全教育委員がグル−プに分散して参加
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